正解には限界がある

2017年9月19日

正解に賞味期限あり

正解がある学校の話はむずかしい

中学校の数学の参考書には、いろいろなタイプのものがあります。数学が苦手なお子さんに、私がオススメしている参考書は「やさしい中学数学」(きさらぎひろし著・学研)です。

他のどの参考書よりも、たいていの先生の説明より、やさしく書かれています。

でもこの「やさしい中学数学」でも決してやさしくはない、と思うことがあります。

どうしてやさしくないのか、といえば正解のあることしか書いていないからです。誰が見ても正解になるようなことしか書けない。AでもいいしBでもCでもいい、なんて問題が入試で出たら怒られてしまいますからね。

でも、実際に世の中にある問題は、ほとんど正解なんかありません。だから、誰でもみんな正解だと思えるようにするためには、特別なことしか話せなくなります。話題の幅が狭くなるので、内容を理解することがむずかしくなるのです。

オススメの参考書でもむずかしい

「やさしい数学」の最初の一節に

14ー2×3 は14ー2は12で、それに3を掛けると36だから……というふうに、前から計算しちゃだめだったよね。掛け算、割り算は足し算、引き算よりさきにやろう。

と書いてあります。

そう思っている子どもは「そうだよね」でおしまいです。
でも「どうして前から順番にしてはいけないの?」と思っている子どもは、「ルールだからね」と言われても腑に落ちません。

(  )の記号もあるんだから、14ー(2×3)と書けばいいんじゃない?

とか思ってしまうと、モヤモヤが残りませんか?

納得できないことにはインチキで

そういう子どもがいるとき、私ならその子に

掛け算や割り算をすると、単位が変わる

という話をするかもしれません。

小学校で悩まされただろう
(速さ)×(時間)=(距離)
で考えてみればいいでしょう。単位は
(km/時)×(時)=(km)
となります。掛けられる数とかと掛ける数と答えは、単位がみんな違うのです。

足し算や引き算のときは長さなら
(m)+(m)=(m)

重さなら
(g)ー(g)=(g)

ほらね。単位は変わらないでしょう。ねっ、単位をそろえてからしか足し算と引き算はできない。だから先に掛け算と割り算をするんだよ。
なんてね。

でもこれ、実はインチキなんです。

特に数学では、単位のない数同士の計算を考えるのも大事なテーマになります。数学的に言えば、単位の話で円山のルールを普遍化するのはごまかしです。

中学生相手に目くらましの話術で、わかった気にさせることは、私なら朝飯前です。でもそれは正しい話ではありません。

ですから、たいていの先生が「ルール」で押し切ることは間違いではないのです。

現場の教育に正解はいらない

実際、とりあえず「ルール」を決めておいて話を前に進めることは、よくありますよね。PTAや商店会などで初めてのイベントに取り組むときには、分からないことだらけです。だから見切り発車でことを進める。

多少ボロが出たって、大問題になりさえしなければ大丈夫です。終わってから考え直して、来年に活かせばいいだけのことですから。

正解がなくてもなんとかなる。というか正解の方に向いている感じがあれば十分、ということが多いんじゃないでしょうか。

でも学校ではそうはいきません。正解が一つでないとクレームが入ります。学校で教えることができる話は、とても窮屈なのです。

まぁ、一応今日はこういうことにしとこうね。10年も経ったら違うことになっているかもしれないけど

と正直に言えたら、先生もラクになれるでしょう。無理な話ですが。

それでも、子どもには、学校で教わることはしばしば当てにはならない、という感じだけは伝えておきたい、と私は考えています。


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